ここでは肩こり・腰痛等が出た時に検討することになるであろう治療院の選択について、参考意見を述べてみたいと思います。

症状を消そうと患部ばかりを一生懸命攻めるのではなく、結果的に体質改善につながる様な治療院を探した方が良さそうだということは既に察せられていることと思います。

ではどういう基準で選んで行ったら良いでしょうか?

 

具体的には整形外科、接骨院、鍼灸院、指圧マッサージ施術院、カイロプラクティック治療院、整体院等の中から選ぶことになると思います。

 

始めに整形外科に行って現代医学的な所見をもらうと救われる場合もあります。

診る医師の能力にもよりますが、一般の治療院では発見されない隠れた重要な原因が発見されることが稀にあるからです。

整形外科に行く価値はそれだけです。

肩こり・腰痛に対する治療は、最近は整形外科も接骨院に対抗して物理療法やマッサージ、鍼等を行う所が多くなって来ましたが、病院だから接骨院以上の治療が期待できるということはありません。

整形外科に行った場合の一番の問題は薬が処方されることです。

肩こり・腰痛で薬を飲むということは根本治癒を先延ばししているだけのことで、薬の解毒で肝臓に負担を掛ける分損します。

もし治療内容が良い場合は薬をもらっても飲まないで通うという手もあります。

 

整形外科以外で施術を受ける場合は、まず施術者が免許を有しているということが最低条件となります。

免許をもっていれば学校で基礎医学の勉強をしたいうことですので、最低限の安全性は確保されます。

カイロプラクティックについては米国ではドクターの資格となりますが、日本では取り締まる法律がありません。

WHOの制定した国際基準の資格が免許に相当すると考えて良いと思います。

 

ただ施術者が何年か養成学校に通って免許を取得したと言っても、開業して良いという資格を取っただけで、諸症状を治せるかどうかは全く関係ありません。

例えば鍼の刺し方、指圧の時の体の構え方、(カイロプラクティックの場合)背骨の矯正の仕方等の技術は教えてもらいますが、それらの技術の使い方即ちどこを治療したら治るかという様なことは教育内容には含まれておりません。

私は3種類の免許を取得し、カイロプラクティックの学校も2つ通い、そのために10年近く費やしましたが、開業した時に学校で学んだことでは全く治せないと言うことに気が付きました。

治すための独自の方法の追求がそこから始まりました。

緊張波動の発見やKAIESの開発の原点はそこにあったとも言えます。

 

この”開業の時にゼロからスタート”という状況は私に限られたことではなく、開業者全員が経験することです。

それが後に一握りの”治せる治療院”と大多数の”治せない治療院”に分かれて行くことになります。

どちらに属する様になるかは治療家としての天性と治すことへの向上心の有無が大きく関わってきますが、もしそれらが揃っても治し方を教えてくれる所がありません。

 

開業後にこの種の問題に直面した施術者で比較的熱心な人達は、ベテランの治療家によるセミナーに参加します。

しかしながらそこで受講しても多少知識が増えるたけです。

日々訪れる様々な患者さんの治療ポイントを見通す感性を養わない限り、知識をいくら増やしても治すことは出来ないのですが、それを教えてくれる様なセミナーは一切ありません。

先天的にそういう感性が働いている治療家は少数いるのですが、先天的に備わっていたものであるが故に人にそれを教えることが出来ません。

 

カイロプラクティックで矯正すべき骨が矯正された時には驚く様な効果がその場で得られます。

この矯正すべき骨を見極めるにはカイロプラクターに感性が必要で、レントゲンを撮ったり普通に触診したりしても分かりません。

色々勉強したけれども矯正すべき骨が分からず矯正しても効果が得られないためにカイロプラクティックの矯正は効果が無いと決め込んでしまったカイロプラクターが非常に多く、治すことは早々に諦めてもみほぐしを治療の主体とし、治療の間中患者さんとトークをして意思疎通を図ることに一生懸命というパターンが多く見られます。

このため日本でのカイロプラクティックのイメージは本来のカイロプラクティックとはかけ離れたものになっております。

 

鍼治療においても極められたツボへの1本の刺入鍼によって全身の気の流れが改善し、患っていた症状が一気に消失する場合があります。この様な効果を得られるツボの選択は施術者の感性によってのみ可能で、教科書的に学んだり経験を積むことによって得られるものではありません。ただし鍼の刺入自体に麻酔効果がありますので、症状のある付近を治療するだけでそこそこの効果が得られる場合があることが一般の鍼灸師にとって救いとなっています。ただそれは鍼本来の治療効果ではありません。

 

治療院を選ぶポイントは数少ない”治せる治療院”、具体的には感性の働いている施術者を見つけることになります。はじめから良い施術者に巡り合えれば幸運ですが、”治せる治療院”が見つかるまで何軒も回ることを覚悟していた方が良いと思います。それは時間を掛ける価値のあることです。

 

ここでは治療院を選ぶ際に留意すべき事項をまとめておきます。

(1)実際に一回治療を受けてみて結果がどうかで判断するのが確実です。的確な治療は一回で効果が出ます。効果が無い治療院に何度も通わないことです。

※1回治療を受けただけで「鍼は合わない」とか「カイロプラクティックは合わない」と判断するのは早計で、施術者次第でそれらは全く別物になる可能性かあります。

(2)施術者自身が問診に頼らず、体の状態を判断する何らかの判断基準を持っているどうか。

<鍼灸>

・始めに脈診を行い、本治法(根本療法)として手足の要穴に接触鍼を行う。

・標治法(対症療法)として施術するツボを決める時に教科書的に位置決めするのではなく、触覚や感性を使う。

<カイロプラクティック>

・矯正する骨を感性で選んでいる様であればベスト。

・オーリングテストを含む筋力テストや左右の足の長さの違いの検査を行う。

※カイロプラクターに矯正する骨を選ぶ感性が働いていないと効果が期待できないだけでなく、もっと重要なことは矯正によって危害を加えられる可能性があるということです。

×腰や首の椎間板ヘルニアに対してヘルニアの起きている部位を矯正するとヘルニアを悪化させるので絶対禁忌です。これを行うカイロプラクターがいますので要注意です。

×ボキボキ矯正音をさせることを目的として、施術者にとって矯正し易い骨をワンパターンで矯正している例は結構多く、続けていると背骨の関節が不安定になります。

×矯正音のする矯正の適応年齢は20歳~50歳で、それ以外の年齢層にもそれを頻回行うカイロプラクターは危険です。

<整体>

・日本では整体と言う言葉の受けが良い様で、多くの治療院が整体と言う文字を看板に書き加えます。

ところが整体には一つのまとまった体系は無く、整体師により千差万別の施術内容になります。

もちろんこれを取り締まる法律もありません。

治療を受けてみて効果があれば良いとしか言えません。

・整体という看板が出ていても実際はもみほぐしと言う場合が多いです。

(3)治療の前後は別として、治療中は黙って治療に集中しているかどうか。

・治療効果は施術者の治療への集中度合いによって全く変わります。

(4)ワンパターンの治療をすべての患者さんに押し付けるのではなく、治療パターンを患者さん毎のその時々の状態に合わせているかどうか。

・とくに高齢になるほど強い刺激は負担になり、最適刺激は小さくなることを感覚的に理解している施術者であることが必要です。

(5) こちらから何も言わなくても悪い所が分かる様であればベストだが、逆に何も分からない場合は患部だけの治療よりも全身的な治療の方が無難。

・例えば背骨の両側を上から下まで指圧すれば、多くの場合重要なポイントに当たります。

 

最後にカイロプラクティックと鍼の効果のある治療の秘訣を明らかにしますので、施術者のレベルを評価する時の参考にしていただきたいと思います。

 

一つのもれも無く必要な矯正が行われた時、カイロプラクティック本来の効果が得られる

カイロプラクティック本来の効果は必要な矯正箇所がすべて矯正された時に得られます。
一箇所でも矯正もれがあると、治療効果は半減します。

患者さんの印象は、最後の1箇所を矯正すると急に良くなった感じがするので、その最後の一箇所が一番重要なポイントだと錯覚するのですが、矯正したどのポイントが残されても同じ様に効果は半減します。

一つのもれも無く全部が正しく揃った時に開くカギの様ですので、私はこれを「暗証番号の法則」と呼んでいます。
この法則が知られていないことも、多くのカイロプラクターが「矯正は効果が少ない」と思い込んでしまう原因です。

 

鍼灸治療本来の効果が得られるのはツボの中の一点

 

鍼治療において、教科書的に学んだ「~の症状に効く」と言われるツボの辺りに鍼を刺すことで、前にも述べた通りそこそこの効果が得られる場合もあります。
しかしながら、仮にそのツボが本当に効くツボだったとしても、そのツボの「辺り」に刺したのでは、本来の効果を出すことは出来ません。

実はそのツボの「辺り」のどこかに、鍼の先と同じ小さな面積の、患者さんがビックリする様な効果が出る一点があります。
そこに鍼を刺すと言うのは、丁度縫い針に糸孔の径と同じ太さの糸を通すのと同じ作業になります。

これが知識と経験だけで:治療している大多数の鍼灸師と、名人と言われる一握りの鍼灸師との違いの一つです。

 

16世紀に韓国一の名医と言われたホジュンを描いた韓国ドラマを以前見ていたら、上の記述と一致する言葉が出て来たので紹介します。

ドラマの中で師匠ユ・ウィテがホジュンに授けた教えの一つなのですが、この映画作成の医術関係のアシスタントが鍼の極意を分かっていたということだと思います。

 

『身体の経穴(ツボ)は粟の粒ほどの大きさだ。しかもその中でも本当に正しい位置は一つだけ。髪の毛を抜いてできるほどの小さな穴だ。むやみにあちこちを突っついても意味は無い。効果を見る穴はただ一つ、それが経穴だ。見つける方法、それは肉眼で探り、心眼で見つけるしかない。』